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輸出などの越境EC事業を行ううえで、忘れてはならない手続きがあります。
それは「消費税還付の申請」です。
初心者の方などは
「なんとなく聞いたことがあるけど、詳しくは分からない…」
という方もいらっしゃるでしょう。
今回は「消費税還付」について分かりやすく解説していきます。
確定申告と同時に手続き可能なので、ぜひ参考にしてくださいね。
■消費税還付とは?
越境EC事業は、日本から海外のお客様に商品を販売することを指します。簡単にいうと「商品の輸出」です。
日本から海外へ輸出する商品は課税対象になりません。
しかし国内での仕入れ時には消費税がかかります。
この支払った分の消費税を返還してくれる制度が「消費税還付」です。
たとえば、2000円の商品を日本で2200円(消費税200円)で仕入れたとします。
そしてその商品を輸出した場合、海外の方からは税金をもらえないため、仕入れ時の税金分200円をどこにも請求できなくなってしまいます。
このようなことをなくすために「消費税還付」があるのです。
商品の仕入れ時以外にも、発送や輸送業務にかかった消費税も経費として認められたものは還付を受けられます。
ですので、輸出事業を始めていくのであれば忘れずに手続きを行いましょう。
申請をしないと、損をすることになってしまいます。
■消費税還付を受けるための条件
消費税還付を受けるためには、以下の2つの条件どちらかを満たさなければなりません。
①前々年の課税売上高が1000万円を超えている
②消費税課税事業者選択届出書を提出している
参考:国税庁
消費税還付を受けるための条件は、消費税の課税事業者であるということです。
①の条件をクリアしていれば、自動的に課税事業者として認められます。
しかし事業を始めたばかりで実績が少ない方は、②の「消費税課税事業者選択届出書」の提出が必要となります。
上記書類を税務署に提出することで、還付を受けられるのです。
詳しい提出方法は、以下をご参照ください。
→国税庁/消費税課税事業者選択届出手続
■消費税還付を受けるための手順と準備
消費税還付の申請までの手順は以下の通りです。
①消費税課税事業者の手続き(税務署にて)
②必要書類の準備
③確定申告・消費還付の申請
また、消費税還付を受けるためには、事前準備が必要です。
日ごろから帳簿をつけておくなどしっかりと管理をしていると、申請の際の手間が省けます。
それでは、先ほどの手順に合わせて以下の準備を進めていきましょう。
・課税事業者になる(消費税課税事業者選択届出書の提出)
・日々の取引を帳簿に記録
・輸出許可書の保管
・申請に必要な書類の用意
ひとつずつ解説していきます。
課税事業者になる(消費税課税事業者選択届出書の提出)
これは先ほどご説明した、還付を受けるための条件を満たすということです。
まだ実績が少ない方は、早めに「消費税課税事業者選択届出書」を提出しましょう。
確定申告の前に申請が完了していないといけないため、12月末までには手続きしてください。
日々の取引を帳簿に記録
消費税還付の申請には、今までの取引履歴の記録が必要となります。
申請前にまとめて記録しようとすると大変なので、こまめに記録しておきましょう。
また、取引時の領収書(レシート)や明細書は、捨てずに保管しておいてください。
輸出許可書の保管
20万円を超える商品を輸出する場合「輸出許可書」が必要です。
この輸出許可書は、消費税還付の申請でも必要となるのでまとめて保管しておいてください。
20万円以下の商品のみ輸出した場合は不要です。
申請に必要な書類の用意
次は、消費税還付の申請に必要な書類の準備です。
申請には以下の書類が必要です。
・課税期間分の消費税および地方消費税の確定申告書
・付表2 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算書
・消費税の還付申告に関する帳簿など取引明細書類
申請は、課税期間の翌年3月末までが期限なので、余裕をもって上記書類を準備しましょう。
■消費税還付を受ける際の注意点
消費税還付を申請するうえでの注意点がいくつかあります。
以下にまとめました。
・原則課税のみ還付可能
・還付金はすぐには支払われない
ひとつずつ解説していきます。
原則課税のみ還付可能
消費税は「原則課税」か「簡易課税」の2種類の計算方法があり、それぞれ納税額が異なります。
消費税還付を受けられるのは「原則課税」の場合のみです。
それぞれの違いを以下にまとめました。
【原則課税方式】
「売上に含まれる消費税」から「仕入れなどで実際に支払った消費税」を差し引いた金額が納税額となる。
実際の差額を計算する方法。
【簡易課税方式】
課税売上高が5,000万円以下の事業者の選択が認められている。
「売上に含まれる消費税」に一定の割合を乗じて計算する方法。
もしも「簡易課税」過去に申請しているのであれば、再度「原則課税」に切り替える必要があります。
「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を税務署へ提出することで手続き可能なので、消費税還付を受ける際はどちらの課税方式なのかを確認しましょう。
還付金はすぐには支払われない
還付金は申請してから、すぐに支払われるわけではありません。
特に、2月・3月は税務署に申告手続きが混みあうため、おおむね1ヶ月から1ヶ月半ほどの期間を要します。
そのため、運用資金は還付金頼りにせず、余裕をもって用意しましょう。
しかし、自宅からe-Tax(電子申告)した場合は2~3週間ほどで入金されるので、直接税務署に提出するよりも支払いが早いそうです。
e-Taxは確定申告なども自宅でできるようになるので、これを機に活用してみてください。
■消費税還付を受けられる回数
通常3月までの申告で、4月~5月頃の入金となります。
しかし、追加で手続きを行うことで「1ヶ月ごと」「3か月ごと」の還付が選択できます。
この手続きに必要な書類が「消費税課税期間特例選択・変更届出書」です。
上記書類を提出することで、課税期間の変更が可能となります。
課税期間の変更には手続きの期限があります。
詳しくは以下で確認してください。
→国税庁/消費税課税期間特例選択・変更届出書
1ヶ月や3か月ごとの還付にすると、毎月の経理管理が重要となってきます。
会計ソフトを上手に活用することで、手間や時間を削減できるのでぜひ導入しましょう。
ただし、課税期間の変更手続き後2年間は再度期間の変更はできません。
ですので、どの期間にするのか慎重に決める必要があります。
■輸出以外の利益もある場合は注意が必要
もし、輸出以外の所得があるならば、その分の消費税を支払わないと「納税不足」としてみなされてしまうため注意が必要です。
雇用契約による「給与所得」には消費税はかかりません。
しかし、国内への商品の販売や他での収益がある場合は、その分の申告が必要となります。
それらによって還付額が変わってきますので、もれなく申告しましょう。
■まとめ
消費税還付は、越境EC事業を行ううえでとても重要な申請です。
活用するしないで、利益が大きく変わってきます。
手続きや日々の帳簿管理は少々複雑ですが、慣れてしまえばスムーズに進められます。
面倒くさいと申請しないでいると、かなりの損失となる恐れもあるのでしっかりと手続きを完了しておきましょう。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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